最近、郊外型パチンコ店と長距離輸送を担うトラック会社の間で、ちょっと興味深い取り決めが交わされたそうです。内容は、パチンコ店の駐車場をトラックの休憩スペースとして活用する、というものです。
改めて考えてみますと、郊外型パチンコ店の多くは広大な平面駐車場を備えています。一部には立体駐車場もありますが、やはり平面の方が主流です。この理由をご存じでしょうか?
実はこれ、土日祝日だけ来店するライトユーザーへの配慮だといわれています。立体駐車場では車のすれ違いや駐車の難易度が高くなりがちで、運転に慣れていない方にとっては使いにくい場合もあります。そこで、広い敷地に平面駐車場を設けることで、誰にでも使いやすい店舗設計を実現しているのです。
もちろん、敷地が広ければ1台あたりの駐車スペースも確保しやすくなるという利点はありますが、一方で「店舗までが遠い」「雨天時に移動が大変」といった課題もあります。
ただ、ここに来てこの「広さ」そのものが社会課題の解決に役立つのではないか、という新たな視点が出てきました。それが「トラックドライバーの休憩問題」への対応です。
トラック輸送のルールとして「430ルール」というものがあります。これは、4時間走ったら必ず30分休憩を取らなければならないというものです。しかし実際には、トラックが気軽に停められる休憩場所は限られており、ドライバーの間では深刻な問題となっています。特に、2024年・2025年と続く「物流の2024年問題」や働き方改革の影響で、ドライバーの労働環境は厳しさを増しています。
こうした中で、郊外のパチンコ店が所有する広い駐車場を、夜間やアイドルタイムにトラックの休憩場所として貸し出すというアイデアが出てきたのです。実際、パチンコ店の駐車場は、店舗の台数にほぼ比例する広さで設計されています。しかしながら昨今の状況もあって、駐車場にもかなり余裕のスペースがあるのです。
とはいえ、実際に活用するにはいくつかの課題もあります。たとえば、稼働状況によっては駐車スペースが不足する可能性がありますし、深夜帯の利用にはセキュリティの問題も出てくるでしょう。セキュリティゲートや監視体制が厳しい店舗では、外部車両の駐車を制限しているケースもあるため、すべての店舗で実現できるわけではなさそうです。
こうしたセキュリティ的な問題はあるにせよ、トラックの働き方改革に則った新たな考え方をパチンコ店が担うとは思ってもいませんでした。これも、パチンコ店(法人)の新たな社会貢献となりえるのでしょうか。
(文:ヨッツマングローブ)