いつものようにパチンコ店に行きますと、人件費の兼ね合いもありますが、色々な場面で「接客接遇のデジタル化」がかなり進んできていることがよくわかります。
たとえば、よく遊技機の台間に挟まれている「機種説明POP」です。これまでは、カラーでプリント・ラミネートされたPOPにその機種画像を掲載し、確率や予告、リーチ、ゲーム性などを上手く説明していました。しかし最近では、一部パチンコ店で台間に同じようなPOPであっても単に「QRコード」が印字されていて、ユーザー自らそのQRコードを各自のスマホなどで読み込ませ、そこからユーザーが望む遊技機の機種説明が表示されるようになります。
そのほかにも、「景品カウンターのセルフ化(セルフカウンター)」も増えてきました。景品カウンターに常駐スタッフがいない店舗も増えており、必要に応じて従業員がサポートに入る形です。そのパチンコ店のハウスカードもしくは会員カードを機械に入れて、画面の案内に従って操作すると景品に交換することが可能です。余り玉の景品もその端数が表示され、こちらもセルフで自ら交換することができます。
また、こちらはデジタル化というより「セルフ化」と言えるかもしれませんが、離席時に従業員さんを呼ばず、自分で遊技台に離席札を置くケースも一般的になりました。
こうしてみるとホール内従業員の人員数の問題や人件費抑制といった背景から、デジタル化の流れはやむを得ないものといえるでしょう。
しかし本当に方向性で良いのかどうか、疑問に思うことがあります。
機種説明のQRコード化や景品カウンターのセルフ化などにより、「人と人のコミュニケーション」が確実に減っていると感じるのです。
私が打ち始めた頃は、何かしら従業員さんとのコミュニケーションがあったと記憶しています。当時はラッキーナンバー制が多く、従業員さんがその札を挿す時には一喜一憂もあり、自然と会話が生まれていました。また景品交換の際でも、従業員さんが景品を決めてくれることもあり、何かしらの顧客接点を通じて「またあの従業員さんに接客接遇されたい」などという気持ちにもなりました。
機種説明にしても、従業員さんが機種のことを自分の言葉で表現して説明し、その話量からその機種を打ち込んでいることがよく理解でき、その従業員さんを信頼することもできました。
「デジタル化」と「アナログ化」には、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらが良いのかはその人によりけりですが、パチンコ・パチスロの灯を絶やさないためには、人と人のコミュニケーション(共感など)を忘れてはならないと考えます。
(文:ヨッツマングローブ)