とあるパチンコ法人では、店内従業員の接客を評価する選手権を自主的に開催していました。調べてみると、自店舗の他の従業員や幹部による評価に加え、お客様からの投票をもとに、地区やエリアの大会に出場する仕組みのようです。こうした取り組みは他の法人でも行われており、外部の調査機関に依頼して、より客観的な評価を行っているケースも見受けられました。
接客・接遇を重要視しているパチンコ店は、私の知る限りでもいくつか存在します。多くは前述の通り、いわゆる「覆面調査」を導入しており、調査員が一般のお客様として来店し、実際に遊技をしながら、接客・接遇やクリンリネス、従業員の所作などを確認し、評価しています。
こうした外部調査は、第三者による評価ですので、特別な理由が無い限り、当然忖度ない正当な評価を得ることができるでしょう。しかし、気になる点もあります。それは、身内だけでその接客・接遇の評価を行っている法人が存在することです。
これは実際に、私が過去にパチンコ店に勤務していた際、競合店舗で頭取りを行っている時に目にした光景です。いつものように頭取りをしようとそのパチンコ店に入ると、スーツ姿の見覚えのない方々がファイル片手にホール内で何やらチェックをしている様子がありました。どうやら、その店舗の接客をチェックしていたようです。
頭取りをしながら従業員の接客の様子を観ていましたが、明らかにいつもとは違う動きが見られました。それもそのはず、接客のチェック担当の存在を意識して、過剰とも思えるほど丁寧な動作だったのです。いつもはそこまでの動きをしていないのに、何だかぎこちない動きをしていて「大変そうだな」という印象を受けました。
接客の動作をチェックすること自体は良い取り組みです。しかし、評価者が堂々とホール内にいらっしゃることは、従業員の皆さんに余計なプレッシャーを与え、逆に萎縮させてしまうのではないでしょうか。評価されることに対する緊張から、モチベーションもそう簡単に上がってこないのかもしれません。
なお、調査をされていたスーツ姿の方々が身内なのか外部の調査員なのかはわかりませんでした。ただ、従業員の皆さんの「素の行動」や「自然な表情」を引き出すには、やはり外部の覆面調査のような形が望ましいと感じます。客観的な評価を得るためには、そうした手法こそが現場の「本当の姿」を映し出してくれるのではないでしょうか。
(文:ヨッツマングローブ)